静岡県浜松市市野町の一般眼科 外来診療・眼科手術
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眼内レンズの基礎知識 | Part1:眼内レンズってご存じですか? | Part2:眼内レンズ挿入術の合併症 |

Part1:眼内レンズってご存じですか?
    最近、さかんに行われている白内障手術。
    今や一年間に100万件近い手術が日本で行われています。
    濁った水晶体を取り除き、透明な人工のレンズを挿入します。
    このレンズを眼内レンズと呼びます。
◆ 眼内レンズには多くの種類があります!
    眼内レンズは皆同じではありません。材質は様々です。大きさも様々です。
    患者様の状況に合わせて(時に医者の独断的判断で)、いろいろなレンズが使われます。
    眼内レンズの種類によって、手術法や手術時間が異なります。
    また、術後の見え方や、合併症の頻度も異なります。
    患者様も医者の言いなりではなく、よく理解した上で、眼内レンズを選んでください。
 ▽▽ レンズ名をクリックするとレンズの画像が見られます。
アクリルソフト
(アクリ.ソフ

世界中で最もたくさん使われているレンズです。

薄く、折りたたみことができるので、小さな切開で済みます。

また、後発白内障(白内障の再発)が非常に少ないのが特徴です。
しかし、屈折率が高いため表面の反射が強い、色収差が大きいなどの光学的な欠点もあります。
さらに、モールド法という製法のため分子構造が粗雑で、素材内に水滴がたまる現象(グリスニング)が問題となっています。

5.5mm〜6.5mmの大きさがあります。
5.5mmのような小さなレンズは手術が簡単に済みますが、術後の視機能の点で問題があると思います。

 
アクリルソフト
(センサー
アクリソフと違い、レースカット法という製法で作られるため、分子構造が洗練され、グリスニングが起こりません。

折りたたむことができ、大きさは6mmです。
改良により、後発白内障が少なくなる予定です。
反射もアクリソフよりは少なく、生理的です。
しかし、折り曲げるにはかなり硬く、医師の使い勝手に多少問題があるようです。
これから評価が定まっていくレンズです。
 
アクリルソフト
(アクリフォールド
日本のHOYA社が最近発表した、アクリルの折り曲げ可能なレンズです。

反射はアクリソフよりも少なく、表面の仕上げがきれいです。

大きさは6mmです。
まだ新しいレンズですので、評価は定まっていませんが、日本のメーカーの良い点は情報に透明性があり、結果が科学的に正しく評価されることです。
これから大いに期待されるレンズです。
 
シリコーン
(キャノン・スター社)
折りたたみレンズの中では最も歴史があります。

屈折率が低く反射は少ないのですが、その反面、厚く、球面収差が大きいなどの欠点があります。
後発白内障もアクリソフよりも多いと言われています。

大きさは、5.5mmと6.0mmの大きさがあります。
しかし、5.5mmのような小さなレンズは手術が簡単に済みますが、術後の新機能の点で問題があると思います。
 
シリコーンレンズ
(アラガン社)
前者よりも屈折率が高く、球面収差が少なく、薄いシリコーンレンズです。大きさは6mmです。

後発白内障が多いと言われてきましたが、最近の改良により、軽減しているようです。
 
ハイドロジェル
(ハイドロビュー
柔らかな折りたたみが容易で、手術操作のしやすいレンズです。
しかし、後発白内障が多いこと、眼内で白濁することがあるなどの問題点が指摘されています。
 
PMMA
(各社多数)
最も歴史のあるレンズ素材です。

PMMAは、昔、戦闘機の風防ガラスとして使われていましたが、眼の中に入っても安定していたことから、コンタクトレンズや眼内レンズとして使われるようになりました。
眼の中での安全性については保証つきです。
光学的にも優れています。
しかし、折りたたむことができないため、現在はやりの小切開手術になじまず、次第に使われなくなりました。
     
黄色PMMA
(メニコン社、HOYA社)
日本が世界に先がけて開発した眼内レンズです。

上にあげたレンズは、全てまっさらな透明レンズで、紫外線はカットするものの、有害な短波長光線を通してしまいます。
網膜などへの悪影響の他に、青っぽく見える、まぶしいなどの問題があります。

黄色PMMAは、このような術後の眼への悪影響を軽減します。
折り曲げることができないという理由で普及率は今ひとつです。

しかし、永田眼科では、術後の眼にやさしいことが何より重要と考え、黄色PMMAを第一選択としています。
 
追記)
最近になり、折りたたむことができる黄色レンズが市販されました。現在3種類ほど使用可能であり、永田眼科でもアクリフォールドの黄色レンズを採用しています。
また、非球面レンズといって、よりピントが鮮明になる眼内レンズが登場し、夜間の
見え具合が良好との報告がありますが、永田眼科ではまだ採用していません。
いずれにしても、現在世界中で新しい眼内レンズの開発が日々進行中です。
 
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Part2:眼内レンズ挿入術の合併症
    私は平成元年から現在に至るまで、白内障手術、とりわけ眼内レンズの合併症について研究を続けてきました。
    その中から、@後発白内障A光学的収差、についてご紹介しましょう。
@ 後発白内障
    いわば、白内障の再発です。
    手術をしても水晶体の上皮細胞が残存していて、それが増殖し、濁りの膜ができた状態です。
    術後2〜3年たって目立ってきます。
    視力が下がってしまった時は、レーザーでこの膜を切開します。
< 後発白内障の例 >

術後2年の症例


瞳を広げて特殊な
写真で撮影しました。
なし弱度
なし弱度
中等度強度
中程度強度
 
< エッジの鋭い眼内レンズは後発白内障を起こさない! >
    後発白内障は患者様にとっても医師にとってもわずらわしい合併症で、以前から大きな問題となっていました。

    私は、1994年、「眼内レンズのエッジを鋭くすると後発白内障を防ぐことができる」という学説を世界で初めて発表しました。

    当時は一部の研究者にのみ賛同を得たにすぎませんでしたが、その後、日本の西博士ら世界的な研究者の業績により、この説が正しいことが認められるようになりました。

    いまでは、世界中のメーカーが「エッジの鋭い眼内レンズ」の製造をめざしています。
 エッジの鋭い眼内レンズ
  (後発白内障を防ぐ)
エッジの丸い眼内レンズ
(後発白内障を防げない)
 
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A 光学的収差
    人の水晶体と眼内レンズは違います。
    端的に言うと、「眼内レンズは水晶体よりもずっと単純」なのです。
    図1のように、水晶体は屈折率が次第に変化する緻密な構造をしており、何枚もレンズを重ねた高級カメラに匹敵します。

    これに対し、眼内レンズはたった1枚の単一屈折率レンズで、これ以上単純なものはないほどです。
    この単純さゆえ、収差という、像をぼかす現象がおこります。
    代表的なものは、図2の球面収差と図3の非点収差です。
 図1:水晶体と眼内レンズの構造の違い。眼内レンズは単純!
 図1
 図2:球面収差:焦点が一つに集まらず、見え方の質を悪くする。 
 図2
 図3:非点収差:斜めから入った光線の焦点が分かれる現象。
     眼底検査や光凝固治療の妨げになる。
図3
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